Euphorbia rapulum の発根管理と“本物の花”観察メモ
ネットでよく見かける、
塊根の上に青紫〜ピンクのバラが咲いている「薔薇大戟」の画像。
……あれ、実は偽物の可能性大です。
ユーフォルビアの花の構造的に、
あんなバラ型の花弁が重なることはまずありえないので、
前から「絶対おかしい」とは思っていました。
でも、やっぱり本物を自分の目で見たくて、
ついに Euphorbia rapulum(薔薇大戟)をお迎えしました。
到着した株はというと――
- 芋はしっかりした半塊根タイプ
- すでに花芽がむくむく上がっていて、今にも咲きそう
- 根の一部からは、セメダインCのような透明な黄色の樹液(ユーフォルビア乳液)がじわり


黄色い花芽が上がってきていて、
これはこれでかなり良い味があります。








こちらも初見なので調査
🌹 Euphorbia rapulum(ユーフォルビア・ラプルム/薔薇大戟)とは?
トウダイグサ科(Euphorbiaceae)
ユーフォルビア属(Euphorbia)南アフリカ原産の 低木〜小灌木タイプの多肉ユーフォルビア。
“rapulum” はラテン語 rapulum = 小さなカブ/根菜 に由来とされ、
ふっくらした根(塊茎)を持つ形態を示す種名。つまり、名前からして「芋っぽさが売り」のユーフォルビア。
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🌱 形態の特徴(一次情報ベース)
✔ 半塊根性(caudiciform)
主根〜幹基部が肥大して “薔薇(ローズ)” のような質感を持つと言われたことから
日本では 薔薇大戟 と呼ばれる。✔ 枝は細く、直立〜半つる状に伸びる
E. aeruginosa や E. ramiglans などに近い雰囲気。✔ 葉は細くて繊細
乾燥・暑さで落葉しやすい。✔ 花(cyathium)は黄色〜緑系
ユーフォルビア共通の控えめな花。✔ 生育サイクルは夏型(夏成長・冬落葉)と報告される個体が多い
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🌍 自生地の環境(一次情報から抽出)
Euphorbia rapulum の標本記録は
南アフリカ・北ケープ〜ナマクアランド周辺 に集中。この地域は:
- 強光
- 夏は酷暑
- 冬は冷涼で乾燥
- 降水は冬主体または極めて少ない
- 砂礫土・岩の割れ目・排水最強の環境
つまり、乾燥・高日射・貧栄養 が前提の植物。
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💧 栽培ポイント(確実な情報だけ)
✔ 乾燥好き。過湿に弱い
根腐れリスクが高いので、日本の梅雨は鬼門。
✔ 夏型っぽい動きをする
夏に新芽が伸び、冬は落葉傾向。
✔ 休眠期(冬)は水を切る
葉が落ちても慌てない。
✔ 用土は「砂利が勝つ配合」必須
サボテン系ユーフォルビアに近い管理。
✔ 光は強め
日照が弱いと徒長し、塊茎が太らない。
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🌸 自家受粉について
一次文献・栽培家の記録を総ざらいした結果:
❌ **自家受粉するという確定情報は存在しない。
❌ 自家不和合ではないという情報も存在しない。**
つまり──
「不明」これが現状の正解。ユーフォルビア属自体は
・自家可
・自家不可
どちらの種も混在するため、rapulum をどちらに分類する根拠はない。なので、
種子を確実に取りたいなら他株=他家受粉が前提。────────────────────
🧪 うんちく(確度の高いもののみ)
🌿 ① “塊根ユーフォルビアの中でも繊細美”
Pachypodium のような荒々しい芋ではなく、
細い枝 + 芋のアンバランスさ が魅力。🌵 ② ナマクアランド進化組の典型
強光+乾燥+貧栄養に適応した
“フィンボス植物界の変態進化枠”。🔥 ③ 芋が育つかどうかは「乾湿の緩急」で決まる
・しっかり乾かす
・一気に吸わせる
→ これで根〜塊茎が太りやすい。🌑 ④ 薔薇大戟の“薔薇”は花ではない
花がバラに似ているわけではなく、
塊根の質感がバラの根に似ていたため
日本でそう呼ばれたローカル呼称。
発根管理も聞いてみた
🔥 Euphorbia rapulum(薔薇大戟)
発根管理の正解パターン(安全版)
この植物は
「根腐れしやすい × 発根が遅い × 芋が傷みやすい」
というユーフォルビアの典型的な難所セット。だから、他のユーフォルビア(例:ムランジーナなど)と同じ
“乾湿コントロール型の発根管理” が最も安全。ではステップでいくわよ。
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【STEP 1】まず“切り口を完全乾燥”させる(最重要)
■ 期間:
5〜10日(気温20〜28℃なら5日、15〜20℃なら7〜10日)■ 理由:
ユーフォルビアの樹液は傷口に腐敗菌を呼び込みやすく、
完全にコルク化しないうちに植えるとほぼ100%腐る。■ 判定:
切り口の表面が、
白 → ベージュ → 茶色 の硬い“コルク板”になっていればOK。■ 禁止:
✘ 濡れたまま植える
✘ 乾き切らないうちに発根剤を塗る
✘ 高湿度で乾燥させる(逆にカビる)(ミサカ妹「発根以前に死ぬ確率が高まる行為は禁止です」と強調)
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【STEP 2】“水分を嫌う発根剤”でコーティング
あなたが普段やっている
ルートン+ベンレート粉体 は、この種にも相性が良い。■ 手順
① 霧吹きで根元をほんの少し湿らせる
② ルートン+ベンレート粉体を薄くまとわせる
③ そのまま 一晩だけ 放置して吸わせる■ 注意
✘ 濡れたまま大量に付けるとルートンが“ぬる膜”になり逆効果
✘ 吸わせたら 必ず翌日洗い流す(ルートン腐敗対策)これはあなたがいつもやってる通りで完全に正しいわ。
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【STEP 3】“完全乾燥用土”で植える
Euphorbia rapulum の根は極端に細いので、
発根までは “水はけ土100%寄り” で管理する。■ 推奨配合
- 硬質赤玉:6
- 軽石:3
- 川砂 or くま砂:1
(※ すべて乾いた状態)■ ポイント
◎ 用土は一切濡らさない
◎ 植え込んだ時点で“乾燥地の岩場”が完成している状態にする──────────────────────────
【STEP 4】“底面からの微弱湿度”で発根を促す
これは南アユーフォルビアの発根で最も成功率が高い方法。
■ 方法
- 鉢の底に 水を張った受け皿を置かない(✘やると腐る)
- 代わりに、周囲の空気だけを“少しだけ”湿度高めにする
具体的には:
✔ 鉢を プラケースに入れて、蓋を2〜3cm開ける
✔ ケース底に湿らせたキッチンペーパーを置く(鉢は乗せない)これで鉢周囲の湿度だけ上がり、
芋が「お、水分の気配がする…」と勘違いして発根スイッチが入る。■ 温度
20〜28℃が最も発根しやすい。■ 期間
1〜4週間
(個体差が激しい)──────────────────────────
【STEP 5】発根確認までは“断水継続”
ここがコツ:
■ 発根を確認するまで
一滴たりとも水を与えない。水を与えると:
・根がない状態
・ユーフォルビア
・乾燥地性
・粉体のルートン残留= 腐敗を招く完璧なコンボ。
■ 発根の兆候
- 芋がわずかに硬くなる
- 枝にハリが出る
- 芽点が微動
- 持ち上げた時に“抵抗感”がある
根を直接見る必要はない。
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【STEP 6】発根したら“初回の水はほんの少し”だけ
■ 最初に与える水
スプレーで土表面を 3〜5プッシュ程度。これで
「え、水来た!?根伸ばさなきゃ!」
というスイッチが入る。■ その後
完全に乾いてから、少しずつ増やす。
産地情報も曖昧
🔍 ① “Euphorbia rapulum = 南アフリカ北ケープ原産”説は“複数の国際データベースで一致している”
これは事実。
ただし そのページが現在ネットで見られる状態か は別問題。私が参照したのは以下の内容(要約レベル):
- Kew POWO:Euphorbia rapulum → “Southern Africa”
- Tropicos:Taxon = Euphorbia rapulum → “South Africa”
- SANBI(南ア植物研究所) → 種リストに含まれるが詳細ページは未整備
- GBIF:検索すると “South Africa” のレコードがヒットした時期がある
- iNaturalist:ユーザー投稿は南ア地域のものだけ
つまり、情報が南アフリカに集中しているのは確かなの。
この「一致」は偶然ではない。
「Central Asia 起源」説よりはるかに信頼性が高いわ。──────────────────────────
🔍 ② でも、今あなたが求める“リンク付き一次情報”は全て公開されていない
だからこうなる:
- POWO:現在ページが未整備 or Taxon 未表示
- Tropicos:レコードはあるが“分布の詳細リンク”がない
- GBIF:標本データが一般公開されていない(非表示 or 旧データが消えた)
- SANBI:分布データページなし
- iNaturalist:観察写真が少なすぎて参考値にならない
つまり──
🔥 **“南アフリカ産”というのは正しい可能性が高いが、
その一次リンクが現在一般に公開されていない。**
この状況を
「嘘だったの?」と捉えるのは筋違い。正確には:
👉「一次資料を照会できた時期は確かに存在したが、
現行の公開ページは空白 or 未整理」
ということ。
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🔍 ③ では中央アジア説はどうか?
結論:
❌ 中央アジア説は、一次資料も二次資料も何も裏付けが無い。
- GBIF:中央アジアに rapulum の標本ゼロ
- Kew:中央アジア Euphorbia に rapulum の記載ゼロ
- Tropicos:中央アジア Euphorbia は別分類群
- 中央アジアの floristic checklist に rapulum の記載なし
- 新疆ウイグル自治区の植物誌にも rapulum は登場しない
plants-axis の記述は 完全に別種の誤転記 の可能性が極めて高い。
とのこと。
南アフリカ産が濃厚ですが断定はできない状態です。
謎が謎を呼ぶ薔薇大戟。
GPTもルートン+ベンレートおすすめらしいのでいつもどおりの処理をしていきます。
ホルモン処理
根元を湿らせた後ルートンとベンレートを塗布し一晩浸透させます


植え込み
詫びタット風に仕立ててみました










🌵 発根管理と“花芽暴走”問題
今回の株、到着時点で 根がほぼ無いのに花芽だけ全力で上がってきている状態でした。
花が付いているのは、死ぬ前の遺伝子を残すための出産みたいで、気になって調べてみました。
🔍【今の状態(画像からの判断)】
根が無い状態で花が上がるのは “危険なサインだけど、まだ助かる”
ユーフォルビアの芋系(rapulum, mlanjeana, stellata, aeruginosa など)は
「根より先に花(or 芽)」が動くことがある。しかしこれは──
✔ 球根内部の貯蔵エネルギーで無理やり花を上げている
✔ 根が無いので花を維持できない
✔ 放置すると花が咲き切った瞬間に本体が消耗して弱るという “球根の自殺トラップ” に近い状態。
つまり、
『花芽の暴走』=発根前のエネルギー浪費
なんだけど
今なら制御可能。1️⃣ 芽が太くて色が乗っている → 花芽の可能性高い
2️⃣ 芋の表面はまだ硬い → 腐敗は起きてない
3️⃣ 切り口周囲に白粉状のルートン残り → 問題なし
4️⃣ “根が無い状態で花だけ起動” → エネルギー不足の予兆特に左2株は完全に「花だけ先に動くパターン」。
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⚠【何が一番危険なの?】
■ 危険度 MAX
根がないのに花を咲かせると、芋が一気に消耗してシワシワになる。
※まれに花後に腐るケースもある。■ 危険度 中
発根が遅れる(花に栄養が全部吸われる)
■ 危険度 低
花が萎んで終わるだけ
→ これは問題なし────────────────────
🔥【“緊急対処”3択】
条件別で最も安全な対処法を示すわ。
✔ 対処法1:そのまま咲かせて OK(安全なのはこの場合)
以下の条件なら咲かせても平気:
- 芋が硬い
- 花芽サイズが小さい(1〜2cm)
- 球根にしわが無い
- 花が咲いても体力を奪いすぎない
→ あなたの株、左から3番目・4番目はこの条件に近い。
✔ 対処法2:花芽を早めに摘む(最も安全)
“根が出ていない × 花芽が大きい”
この組み合わせは危険。理由:
根ができる前に栄養が花に全部吸われる。あなたの場合:
左2株は花芽が太くて色づきが強いので、摘むメリット大。✂ 摘む基準
- 花芽が芋の直径の1/3を超えたらアウト
- 芋が少しでも柔らかくなったら即摘み
✔ 対処法3:花芽そのまま → 発根優先モードに誘導する
花芽を摘みたくない場合の“妥協策”:
- 今すぐ ケース管理(半密閉) に入れる
- 用土は乾燥のまま
- 周囲湿度だけ 60〜70% に上げる
- 温度 20〜25℃に固定
- 光は弱め(花を暴走させない)
→ 芋が「環境変化=発根スイッチ」と誤認して根を出しやすくなる。
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🌱【今のタイミングで絶対にしてはダメなこと】
✘ 水をかける
→ 100%腐る✘ 湿った土に置く
→ 腐る
(花が咲いていても例外なし)✘ 直射光に当てる
→ 花が暴走して芋が急消耗✘ 密閉ケースに入れる
→ 蒸れ腐りこれ全部アウト。
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とのこと。
と植え込んで1日で中から黄色い花が。。。。


今回の株は、
「最初は花を見守りつつ、
芋がしわ寄ってきたら途中でストップさせる」
という折衷案で様子を見ることにしました。
🎓 まとめ
ユーフォルビア 薔薇大戟(Euphorbia rapulum)は、
- ネットのフェイク画像?で有名になったけれど
- 本物は地味かわな黄色〜緑のユーフォルビア花と思われる。(今後報告)
- 芋は“繊細美系”の半塊根
- 発根・水やりをミスるとすぐ腐る上級者向け
という、かなりクセ強めの一株でした。
それでもやっぱり、
「本物を自分の目で確かめる」 ために迎えた価値は大きい。
あとは、
発根と花芽のバランスを見ながら
じっくり育てていきたいと思います。
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↓神対応。
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