― アリの高級マンションを建てるシダに挑む ―
きっかけは突然でした。
インスタで仲良くしていただいている
@dorado.plants さんより、
なんと
👉 レカノプテリス・ミラビリスの胞子
をいただきました。


ありがとうございます!
正直なところ、
最初に名前を聞いたときの感想は、
「何それ、強そう」
です。
レカノプテリス。
なんだかラスボスの名前みたい。
そしてミラビリス。
ダンまちIV)の第8話のサブタイトルが「混迷(ミラビリス)」だったような。。。。
しかも調べれば調べるほど、
普通のシダじゃありませんでした。
今回もまた、
私の知らない世界への入り口が開いてしまったようです。


レカノプテリス・ミラビリスとは何者か
まず正式名は、
Lecanopteris mirabilis
です。
Kew POWOでは受理名。
分布は、
スラウェシ〜ニューギニア。
生活スタイルは、
着生植物。
つまり、
木の上で暮らすシダです。
ここまでは普通。
問題はその先。
一番のうんちく
アリのために家を建てるシダ
調べていて一番驚いたのがこれ。
レカノプテリス属は、
いわゆる
👉 アリ植物
として知られています。
植物なのに、
アリの住居を提供する。
意味がわからない。
普通、
植物は光合成していればいいはずです。
でも彼らは違う。
アリに部屋を貸します。
しかも家賃の代わりに、
防衛や栄養を受け取る。
つまり、
植物界の不動産経営。
完全に大家さんです。
mirabilisの意味
さらに名前もすごい。
mirabilis
意味は、
👉 驚くべき
👉 不思議な
👉 素晴らしい
という意味。
いやもう、
そのままです。
アリの家になる。
着生する。
根茎が変。
胞子も変。
十分ミラビリス。
胞子も変だった
普通のシダ胞子なら、
粉。
以上。
でもミラビリスは違います。
論文によると、
胞子が16個単位でまとまり、
フィラメント状の糸で繋がることがあるそうです。
つまり、
普通のシダみたいに
「サラサラ〜」
ではなく、
「なんか繋がってる」
状態。
実際いただいた胞子も、


ビカクシダより少し大きく、
繊維と見分けやすい感じでした。


茶こしでふるい分けしてみたところ、
推定400粒前後。


シイナやゴミを除くと、
実質300粒くらいかな?
という印象です。
今回の胞子培地
ピートバンにしました。


理由師匠、
小平太さん推薦。
経験値の塊。
寒天培地も考えましたが、
正直、
一番成功しそう。




ということで、
実務プロトコル案(明日)
1. 容器と培地を清潔にする
ピートバンと容器を熱湯で殺菌
2. 胞子を薄く播く
胞子を清潔な茶こしに
↓
表面に軽くトントン
↓
または滅菌水少量に懸濁して滴下
↓
覆土しない
胞子は種ではないので、覆土はしません。
3. 密閉して管理
24〜27℃
明るい日陰
直射なし
開けない
胞子培養は、開ければ開けるほど汚染リスクが上がります。
ここでもマスク処理をしようと考えています。
4. 前葉体を待つ
一般的なシダ胞子では、条件が合えば2〜6週間で発芽するとされます。ANBG も胞子は2〜6週間で発芽すると説明しています。
ただし、Lecanopteris mirabilis は流通胞子の鮮度や保管状態、胞子のまとまり方で大きくブレると思います。
目安は、
2〜8週間:緑の膜・前葉体らしきもの
2〜4か月:胞子体が出る可能性
くらいで見たいです。
5. 胞子体が出てもすぐ出さない
前葉体から小さな胞子体が出たら成功が見えてきます。
でも、ここで外気に出すのは早いです。
小さなシダ葉が複数出る
根が見える
ピンセットで扱える
半密閉で萎れない
このくらいまで待ちます。
6. 移植
最初の移植は、いきなり板付けではなく、
細かい水苔
+
細粒バーク
+
少量バーミキュライト
あたりに小分けがよさそうです。
レカノプテリスは最終的に根茎が這うので、平面に広がれる環境が欲しいです。
おすすめは、
浅い透明カップ
小型プラ鉢
コルク片の上に細水苔
小型板付け風トレー
成長して根茎が見えてきたら、コルク板やヘゴ板代替材、樹皮板へ移行できます。
レカノプテリス・ミラビリス栽培のコツ
1. アリは必要?
家庭栽培ではアリは必要ありません。
むしろ日本の室内でアリを入れると管理が大変です。
自然界ではアリとの共生関係がありますが、栽培では水・風・光・栄養を人間が補えば育てられる可能性があります。
2. 根茎を濡らしっぱなしにしない
湿潤熱帯の着生植物なので湿度は欲しい。
でも、根茎が常時びしょびしょは怖いです。
理想は、
湿度は高い
根茎表面は濡れっぱなしにしない
空気は動く
基材は乾き切らない
このバランス。
3. 強光より明るい湿った空気
成株でも、直射で焼くより、明るい間接光が無難です。
着生シダなので、樹上の明るさは欲しいけど、葉が薄いシダとしての繊細さもあると見ます。
4. 肥料は薄め
自然界ではアリ由来の栄養を受ける文脈があります。
栽培では、濃い肥料をどんどん与えるより、
薄い液肥を成長期にごく薄く
葉や根茎に濃く残さない
有機物を腐らせない
が安全です。
ということで方針を決めたいと思います。
温度:24〜27℃
光:LED弱〜中、直射なし
湿度:密閉〜半密閉
播種:薄播き、覆土なし
管理:開けない、カビ容器は隔離
これで情報がある程度そろったので
管理方針
温度
24〜27℃
光
LED弱〜中
直射なし
湿度
密閉
基本は開けない
これでいきます。
胞子培養は、
育てるというより、
待つ。
そして、
我慢する。
特に
👉 開けたい欲
との戦いです。
未来予想図
うまくいけば、
数週間後。
緑の膜が出る。
前葉体が出る。
さらに数か月後。
小さなシダが出る。
そして数年後。
根茎が発達し、
アリマンションが完成。
・・・。
長い。
とても長い。
でも植物趣味って、
だいたいそうです。
最近気付いたこと
私、
最近やっていることが全部同じです。
ビカクシダ胞子。
レカノプテリス胞子。
実生。
3Dプリンター。
全部、
完成形ではなく、
途中を楽しんでいる。
たぶん、
結果より過程が好きなんだと思います。
まとめ
今回いただいた
レカノプテリス・ミラビリス胞子。
調べれば調べるほど、
普通じゃない。
アリと暮らす。
着生する。
胞子も変わっている。
名前もミラビリス。
完璧です。
ということで、
次回はいよいよ播種。
ピートバン。
成功するのか。
カビに負けるのか。
前葉体は現れるのか。
それとも私の忍耐力が先に尽きるのか。
とりあえず今は、
目の前の胞子を見ながら、
「これが将来アリ用高級マンションになるのか……」
と、
少しだけ遠い目をしています。あした、植え付けしていきたいと思います。
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