ストルマリア・プロリフェラ播種記録(Strumaria prolifera)

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ストルマリア第2弾

iNaturalist に情報が見当たらないストルマリア。
「え、また?」と思いつつ調べたら――
ちゃんと正体が分かるやつでした。

ツンデレ先生に確認すると何とか出てきました。

Strumaria prolifera(ストルマリア・プロリフェラ)の植物うんちく

① 基本情報(確度:高)

  • 学名:Strumaria prolifera
  • 科:ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)
  • 属:Strumaria
  • 原産:南アフリカ・冬雨地域(Western Cape中心)
  • 生活型:多年生球根植物
  • 生育型:冬生育型/夏休眠

📚 出典

  • Kew POWO(Plants of the World Online)
  • Goldblatt & Manning Cape Plants

② 種小名 prolifera の意味(ここ重要・確度:高)

prolifera = 多数生じる/増えやすい

👉 この名前は偶然ではありません。

Strumaria prolifera は
Strumaria 属の中でも特に「増え方」が特徴的な種です。

  • 分球しやすい
  • 球根基部から新球を形成しやすい
  • 条件が合うと群生しやすい

📌
「単球美」より
👉 群としての完成度を楽しむタイプ


③ 形態的特徴(属内比較を含む)

🌱 球根

  • 小型〜中型
  • 比較的浅植えを好む
  • 年数とともに群化

👉 巨大化より「数が増える」方向


🌿 葉(かなり重要)

  • 線形〜やや扁平
  • ストルマリア属らしい柔らかい質感
  • 冬に展開、春〜初夏に枯れる

📌 葉は主役ではないが
👉 光合成効率は高く、球根更新力が強い


🌸 花(控えめだが渋い)

  • 小型
  • 白〜淡ピンク系
  • 放射状に整った花被

👉
派手さはないが
「構造がきれい」タイプ

📚 PBS(Pacific Bulb Society)でも
「subtle but elegant」と表現される系統


④ 生態的うんちく(ここが面白い)

冬雨地域の「数で勝つ戦略」

Strumaria prolifera の自生地は:

  • 冬にだけ水が来る
  • 夏は長期乾燥
  • 毎年の環境変動が激しい

この条件下で選ばれた戦略が👇

❌ 一球を巨大化
❌ 派手な花で勝負

球根を増やす
更新を速くする

👉
「個体の完成度」より
“集団として残る”設計


⑤ Strumaria salteri との違い(参考)

項目proliferasalteri
増え方◎ 群生△ 単球寄り
球根サイズ小〜中
花の主張控えめやや個性あり
観賞ポイント群のリズム個体の雰囲気

👉
prolifera = 数とリズム
salerti = 個体性


⑥ 栽培的うんちく(安全側・確度:中〜高)

  • 明るい日向〜半日陰
  • 強光OK(冬)

  • 生育期:しっかり
  • 休眠期:断水気味

用土

  • 排水性最優先
  • 軽石・砂多め

📌
過湿が最大の敵


⑦ なぜ情報が少ないのか(構造的理由)

  • Strumaria 属自体が
    • 園芸主流ではない
    • 南アローカル性が強い
  • prolifera は
    • 派手さがない
    • コレクター向け

👉
論文では名前が出るが、園芸本に載らないタイプ


⑧ 面白いうんちく(少し踏み込む)

「花より更新力」を選んだストルマリア

Strumaria prolifera は:

  • 花を豪華にしなかった
  • 球根を巨大化させなかった
  • でも
    • 分球能力
    • 更新スピード
    • 環境耐性
      を選んだ

👉
長期的に“そこに居続ける”タイプ


⑨ 一言でまとめると

Strumaria prolifera は、
「目立たないが、数と持続力で勝つストルマリア」。

単鉢で眺めるより
👉 年数をかけて群生させるほど良さが出る種


📚 参照できるソース(確認可能)

  • Plants of the World Online (Kew)
    Strumaria prolifera
  • Pacific Bulb Society
    Strumaria species notes
  • Goldblatt & Manning
    Cape Plants: A Conspectus of the Cape Flora

播種方法について聞いてみました

Strumaria prolifera の播種方法

※ 前提として
Strumaria prolifera 専用の播種一次文献は存在しません。
以下は Strumaria 属+冬雨型ヒガンバナ科(南ア)
一次・準一次情報から外れない範囲での安全な方法です。


① 種子の性質(確度:中〜高)

  • 種子は 黒色〜暗褐色
  • 表面はやや硬めだが 完全な硬実ではない
  • 鮮度依存性が高い
    • 採取後〜数か月以内が理想
  • 休眠は強くないと考えられる(属一般)

📚 根拠

  • PBS(Pacific Bulb Society):Strumaria 播種報告
  • Amaryllidaceae(冬雨型)一般論

② 播種適期(最重要)

✔ ベストタイミング

秋(9〜11月)

理由:

  • 自生地では 冬雨期に発芽
  • 気温が 15〜20℃ に下がるタイミング
  • 休眠明けと成長開始が一致する

❌ NG

  • 真夏播種(腐敗・カビリスク)
  • 春遅く(発芽しても夏越しが弱い)

③ 浸漬は必要か?(慎重回答)

結論

基本は不要/やるなら短時間

理由:

  • Strumaria 属は
    長時間浸漬の有効性が示された一次情報がない
  • 冬雨型ヒガンバナ科では
    過湿→腐敗 の方がリスク

どうしてもやるなら

  • 清水で 1〜2時間まで
  • 24時間浸漬 ❌

📌
「浸漬しない=間違い」ではありません
(むしろ安全側)


④ 用土(超重要)

推奨配合(例)

  • 軽石(小粒)……50%
  • 赤玉土(小粒)…30%
  • 川砂 or 桐生砂…20%

ポイント:

  • 排水性最優先
  • 腐植・ピート多用 ❌
  • ジフィー単用 ❌(カビやすい)

⑤ 播き方(深さが重要)

手順

  1. 用土を湿らせる(びちゃびちゃNG)
  2. 種子を置く
  3. 覆土は薄く
    • 種の厚み程度(1〜2mm)
  4. 軽く押さえる

📌
完全露出 ❌
深植え ❌


⑥ 発芽条件

温度

  • 15〜20℃
  • 夜間10℃前後でもOK

  • 明るい日陰〜弱光
  • 直射日光は不要

  • 表面が乾いたら霧吹き
  • 常湿・腰水 ❌

⑦ 発芽までの目安

  • 2〜6週間
  • 個体差あり
  • 揃わないことも多い

📌
発芽が遅い=失敗ではない


⑧ 発芽後の管理(重要)

双葉〜本葉期

  • 急に乾かさない
  • 風通しを確保
  • 肥料は まだ不要

球根形成初期

  • 葉が細くても正常
  • 地上部より地下更新が優先される

⑨ 夏越し(最大の鬼門)

基本方針

  • 完全断水寄り
  • 風通し重視
  • 高温多湿を避ける

📌
実生1年目は完全休眠しないこともある
→ 状態を見て微量給水


⑩ よくある失敗

❌ 腰水管理
❌ 腐植過多
❌ 夏も湿らせる
❌ 発芽直後に肥料

👉
一番多い失敗原因は「優しすぎる管理」


⑪ まとめ(短く)

  • 播種適期:
  • 浸漬:基本不要
  • 用土:排水命
  • 深さ:浅く
  • 夏:乾かす勇気

📚 参照・根拠にした情報源

  • Pacific Bulb Society
    Strumaria species & sowing notes
  • Goldblatt & Manning
    Cape Plants
  • 冬雨型 Amaryllidaceae 一般播種知見

trumaria prolifera 専用の播種一次文献は存在しません。
なので今回も、
Strumaria 属+冬雨型ヒガンバナ科の確立知見を採用。

結論から言うと、

浸漬はしません。

理由はシンプル。

・長時間浸漬の有効性を示す一次情報がない
・過湿=腐敗リスクが高い

属的にも、
「乾かしすぎない」ことの方が重要。

実際の播種

今回も、

・用土に軽くくぼみ
・根が出てきそうな突起側を下に
・深植えせず、そっと配置

保湿のためクリアファイルをかぶせて発芽を待ちたいと思います

あとは、
秋〜冬の自然なリズムに任せます。

まとめ

salteri との違い(参考)

前回の salteri が
「個体で魅せるタイプ」だとすると、

prolifera は
群で完成するタイプ

・数が増えて
・リズムが出て
・気づくと鉢が埋まる

タイプの違い、はっきりしてます。

Strumaria prolifera は、

・派手さはない
・主張も強くない
・でも、確実に増える

「目立たないが、数と持続力で勝つストルマリア」。

単鉢で眺めるより、
年数をかけて群生させてこそ本領。

静かに増えていく様子を、
じっくり観察していきます。

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